【エンジニア視点】中学受験はLLMの学習と同じ構造だった|塾=SFT、暗記=RAGというアナロジー

中学受験はLLMの学習と似ているのではないか

最近、中学受験という巨大プロジェクトを間近で見ていて、あることに気づきました。

中学受験の勉強プロセスは、LLM(大規模言語モデル)の学習構造とかなり似ている

教育論や精神論をいったん横に置き、純粋に「学習システム」として中学受験を見てみると、このアナロジーは意外としっくりきます。

地頭は「Pre-training」

まず前提として、人間にはベース能力があります。

LLMで言えば Pre-training(事前学習) の部分です。

幼少期の

  • 読書
  • 会話
  • 遊び
  • 体験

こうした大量の経験データを通して、子どもの思考の基盤は作られます。

いわゆる地頭と呼ばれる部分です。

塾に入ったからといって、このベース能力が急激に変わるわけではありません。

塾の本質は「SFT」

多くの親は「塾に入れると賢くなる」と思っています。

しかし実際に塾がやっていることは、LLMで言うとSFT(Supervised Fine Tuning)に近いものです。

つまり、特定の問題に強くなるように調整する作業です。

例えば次のようなものです。

  • つるかめ算
  • 場合の数
  • 規則性
  • 記述問題の書き方

こうした入試特有の問題パターンに対する回答精度を高めているわけです。

つまり塾は

入試問題というタスクに特化したトレーニング

を行っているとも言えます。

暗記科目はRAG

社会や理科の暗記。

これもLLMの概念で説明できます。

それがRAG(検索拡張生成)です。

例えば次のような知識です。

  • 歴史年号
  • 地理
  • 生物分類

これらは推論だけでは出てきません。

つまり、頭の中に知識データベースを作り、そこから検索するイメージです。

中学受験の暗記は「知識インデックス構築」に近いのかもしれません。

一番怖いのは「過学習」

LLMでも問題になるのがOverfitting(過学習)です。

これは

  • 特定の問題には強い
  • 応用が効かない

という状態です。

中学受験でもよく見られます。

塾のテストでは高得点なのに、少し形式が変わると急に解けなくなる。

これはある意味、問題パターンに慣れすぎた状態とも言えます。

すべての子どもにSFTが必要なわけではない

この構造を考えると、一つの疑問が出てきます。

すべての子どもに中学受験というトレーニングが必要なのか?

論理的な推論が得意なタイプの子どもには、このトレーニングは合います。

一方で

  • 人をまとめる力
  • 対人関係のセンス
  • 行動力

といった能力で輝くタイプもいます。

そういう子どもにとっては、早い段階でペーパーテストに特化する必要はないのかもしれません。

SAPIXはOpenAIっぽい

ここまで考えると、塾の性格も少し見えてきます。

LLM企業
SAPIXOpenAI
早稲田アカデミーAnthropic
日能研Google
四谷大塚Meta

完全に個人的な印象ですが、例えばSAPIXは

  • 問題の洗練度
  • 上位層のレベル
  • 教材の完成度

を見ると、最先端モデルを作る研究所のような雰囲気があります。

ただし当然ながら、すべての子どもに合うわけではありません。

スポーツはRLHFかもしれない

LLMの最後の調整工程にRLHFがあります。

これは人間のフィードバックをもとに、社会で自然に振る舞えるよう調整する工程です。

子どもにとって、この役割を担うのは

  • スポーツ
  • 武道
  • チーム活動

のようなものかもしれません。

勉強とは別の形で

  • 礼儀
  • 自制心
  • 協調性

を学ぶことになります。

まとめ

中学受験をLLMの学習として眺めると、少し冷静に見えてきます。

塾は魔法ではありません。
しかし、特定の目標に対して非常に強力なトレーニング装置ではあります。

大事なのは、子どもがどんな「モデル」なのかを理解すること。

そしてその子に合った学習を選ぶことなのかもしれません。

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