「海城が第一志望だけど、2月1日は思い切って海城①へ行くべきか」
「本郷は2月2日にもあるから、1日はスルーしても大丈夫では?」
こういう出願戦略は、中学受験の終盤になるほど現実味を帯びてきます。
ただ、ここで怖いのは、学校名だけ見て判断すると危ないことです。
同じ学校でも、日程が違うだけで難易度がかなり変わるからです。
今回は、2025年9月のサピックスオープン結果をもとにした2026年予想偏差値を前提に、持ち偏差値56の受験生を想定しながら、海城志望の併願戦略を整理してみます。
結論から言うと、この記事で一番伝えたいのはこれです。
2月1日に本郷①を受けず、2月2日の本郷②に回すのは、数字で見ると想像以上に危険です。
中学受験は、単純な偏差値勝負ではありません。
どの日に、どの学校を置くかという「順番の設計」で、合否の景色がかなり変わります。
Contents
まず押さえたい前提:同じ学校でも日程で難易度が変わる
今回の前提となる偏差値は次の通りです。
- 海城中学校 1回:59
- 海城中学校 2回:61
- 本郷中学校 1回:52
- 本郷中学校 2回:56
- 東京農業大学第一高等学校中等部 2回(算理/算国):54
- 東京都市大学付属中学校 2回算国/2回算理:52
この中で特にインパクトが大きいのは、本郷の1回52→2回56です。
同じ本郷でも、2月1日と2月2日で4ポイント差あります。
4ポイントでも十分大きいです。
「本郷は実力相応校」と一括りに考えていると、この日程差で事故ります。
持ち偏差値56の子にとって、
- 本郷①は「やや余裕あり」
- 本郷②は「ちょうど持ち偏差値」
という見え方になります。
ここを曖昧にしたまま出願を組むと、親の頭の中では「安全校を残しているつもり」でも、実際には安全度がかなり下がっていることがあります。
持ち偏差値56で見る「プランA」と「プランB」
ここでは、海城が第一志望の子を想定して、典型的な2パターンを比べます。
プランA:海城チャンス最大化ルート(特攻型)
- 2月1日午前:海城①【59】
- 2月1日午後:農大一②【54】
- 2月2日午前:本郷②【56】
- 2月3日午前:海城②【61】
一見すると、海城にしっかり2回チャレンジしつつ、本郷も押さえられていて、きれいに見えます。
でも、持ち偏差値56でこの並びを見ると、かなり危ないです。
2月1日午前の海城①がまずチャレンジ
海城①59は、持ち偏差値56に対してプラス3です。
当然ながら、ここは本命ではあってもチャレンジ受験です。
本命に挑むこと自体は悪くありません。
問題は、その後ろの構成です。
2月1日午後の農大一②も、実はそこまで楽ではない
午後受験の農大一②54は、数字だけ見ると偏差値差マイナス2なので、一応は安全寄りに見えます。
ただ、2月1日午後受験は、単純な偏差値比較だけでは済みません。
午前に海城を受けている時点で、
- 朝からの緊張
- 移動
- 本命受験による消耗
- 不出来だった場合のメンタル低下
が乗ってきます。
つまり、午後の農大一②は「偏差値54だから安心」とは言い切れません。
机上では安全寄りでも、実戦ではかなり負荷が高いです。
最大の事故ポイントは2月2日の本郷②
このプランの一番怖いところはここです。
もし2月1日の海城①が不合格だった場合、親子の気持ちは一気に重くなります。
しかも、その状態で向かう2月2日の本郷②は56です。
今回の最新表では、本郷②は57ではなく56です。
そのため、前回よりは少しだけマイルドになりました。とはいえ、持ち偏差値56に対して本郷②56は余裕のある安全校ではなく、ほぼ実力相応の真っ向勝負です。
ここが重要です。
親の感覚では「本郷は現実的な学校」「本郷で立て直せばいい」と思っていても、数字で見ると、2月2日の本郷②はすでに楽な立て直し先ではありません。
1日海城①のダメージを受けたあとに受けるには、十分に重い学校です。
つまりこのプランは、
- 2/1午前:海城①でチャレンジ
- 2/1午後:疲労下で受験
- 2/2午前:本郷②で実力相応の勝負
- 2/3午前:海城②で超チャレンジ
という流れになります。
かなり厳しく言えば、休まる暇のないデスロードです。
2月3日の海城②は、もはや平常心で受けにくい
海城②61は、持ち偏差値56から見ればかなり高い壁です。
もちろん合格者はいますが、基本的には強い受験生が集まる回です。
しかも、2月1日・2日でうまくいっていない可能性がある中で迎える2月3日は、精神的にもかなりきついです。
- まだ合格がない
- 親も焦る
- 子どもも「もう後がない」と感じる
こういう状態で、本来なら最も難しい回にぶつかることになります。
これは、受験戦略としてかなり危ういです。
プランB:本郷①を先に確保するルート(可用性重視型)
- 2月1日午前:本郷①【52】
- 2月1日午後:東京都市大付②【52】
- 2月2日午前:本郷②【56】または休養
- 2月3日午前:海城②【61】
このプランのよさは、単に「弱気」という話ではありません。
合格可能性の高い学校を先に確保して、受験全体の安定性を上げていることです。
2月1日午前の本郷①52がとても大きい
持ち偏差値56に対し、本郷①52はマイナス4です。
これはかなり大きいです。
もちろん絶対はありません。
ただ、出願設計としては、ここでまず「納得できる進学先」を取りにいく意味は非常に大きいです。
しかも本郷は、単なる保険校というより、十分に進学先として成立する学校です。
だからこそ、この1校を早めに押さえられることの価値が高いです。
2月1日午後の東京都市大付②52も冗長性として機能する
午前の本郷①に加えて、午後に東京都市大付②52を置くと、2月1日だけで複数の合格可能性を確保できます。
ここで大事なのは、受験戦略では「一点突破」よりも、システム全体が落ちないことが重要だということです。
サーバー設計でも、単一障害点をそのまま放置すると危険です。
中学受験も同じで、2月1日に何も取れない構成は脆いです。
本郷②は「保険」として使えるから意味がある
このプランでは、2月2日の本郷②56の意味合いが変わります。
2月1日ですでに本郷①や東京都市大付②が取れていれば、2月2日は精神的にかなり落ち着いて迎えられます。
受けるにせよ休むにせよ、選択肢が残ります。
逆に、2月1日に何も取れていない状態で受ける本郷②56は重いです。
つまり本郷②は、
- 2月1日を取った上での追加チャレンジ・上積み
- 2月1日の構成が崩れた時の再起動手段
としては意味があります。
でも、2月1日の本郷①を飛ばしてまで最初から頼る場所ではない、ということです。
海城②にも「失うものの少ない状態」で向かえる
このプランの最大の利点は、2月3日の海城②に対して、気持ちの面で余裕を持ちやすいことです。
本郷などの合格があれば、
- 全落ちの恐怖が減る
- 親の表情が変わる
- 子どものパフォーマンスも落ちにくい
という好循環が生まれます。
同じ海城②61を受けるにしても、
- 1日・2日で何もなく追い込まれて受ける
- すでに合格を持って受ける
では、体感はまったく違います。
受験は機械ではないので、最終的にはこの心理的安全性が効いてきます。
この比較から見える本質:中学受験は「偏差値」より「順番」のゲーム
今回の比較で見えてくるのは、単純な偏差値比較だけでは足りないということです。
海城、本郷、農大一、東京都市大付。
それぞれの学校名だけで見ていると、「どこを受けても同じようなもの」に見えます。
でも実際には、
- 同じ学校でも日程で難易度が違う
- 午前午後で消耗度が違う
- 前日に合格があるかどうかで心理状態が違う
という差があります。
だから中学受験の出願戦略は、
「どの学校を受けるか」だけではなく、「どの順番で受けるか」が本質です。
特に持ち偏差値56前後の層では、この日程設計の影響がかなり大きいです。
最上位層のようにどこでも押し切れるわけではなく、かといって安全校だけで固めたいわけでもない。
だからこそ、2月1日の使い方で全体の難易度が大きく変わります。
2月1日の本郷①をスルーする怖さ
この記事でいちばん強く言いたいのはここです。
持ち偏差値56の子が、2月1日に海城①59へ行き、2月2日の本郷②56を立て直し先として考えるのは、見た目以上に危険です。
なぜなら、2月2日の本郷②は「余裕のある安全校」ではないからです。
数字上は、すでに持ち偏差値と同水準です。
つまり、
- 2月1日に海城①でチャレンジ
- 2月2日に本郷②で実力相応の勝負
- 2月3日に海城②で超チャレンジ
という構成になりやすい。
これでは、本人の実力というより、日程設計のミスで苦しくなります。
受験本番では、1回ごとに体力もメンタルも削られます。
だから、2月1日に「進学先として納得できる合格」を取りにいく意味は、とても大きいです。
まとめ:安全校を先に取るのは弱気ではなく、設計の問題
中学受験では、「第一志望にどれだけ本気で突っ込むか」が語られがちです。
でも実際には、それ以上に大事なのは、全体が崩れない構成を組むことです。
今回のケースで整理すると、持1ち偏差値56の受験生にとっては、
- 海城①59はチャレンジ
- 本郷①52は取りにいく価値が高い
- 本郷②56は思ったより重い
- 海城②61はかなり高い壁
という見え方になります。
この数字を踏まえると、
2月1日に本郷①を取れるチャンスをあえて捨てて、2月2日の本郷②に期待するのは、かなり危ない設計です。
安全校や相応校を先に確保するのは、弱気だからではありません。
受験全体の可用性を上げ、最後まで本命に挑戦できる状態を作るためです。
中学受験は、偏差値だけでなく、日程によって難易度が跳ね上がります。
だからこそ、学校名ではなく、「どの日にその学校を受けるか」まで含めて考えたいところです。
第一志望への思いが強い家庭ほど、出願の順番は感情で決めず、数字で一度冷静に見直したほうがいい。
今回の海城・本郷の組み合わせは、そのことをかなりわかりやすく教えてくれると思います。



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